#07.建築面積に入らない空間

建物の一番の特徴であり大切な空間なのに、そこが建築面積に入らない設計をいくつかしてきた。建築の設計をしているのに重要なテーマの一つが建築でないと言う変な構図になっているようにも見える。alleyやpatioはそのまま建物名称にまでなっているが、その場所は建築面積に入っていない。どういう意味だ?

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空間は広い野原に一本の樹木があるだけでも生まれる。建築が存在することで生まれる外部空間。否が応でも生まれるその空間に神経を使いたかった。

それは単に外から見える外観だけを指すものではない、 人がそこに立ったときに感じる空間、空気だ。それが建物の作り出す雰囲気になり、顔になり、気持ちの良い建物につながるはずだから。さらに人が集える中心的な空間が出来たならコーポラらしくてもっといい。

普通であれば、まったく楽しくもなく、立ち話をする気にもならない外廊下となるはずだった場所を、この設計コンセプトでは逆にその建築を象徴するような豊かな空間にするように仕掛けた、時に人が集まれる場所になるように。

建物のエントランスから住戸の玄関までのアクセスを気持ちの良い空間にしようと目指した点では、M-splitのエントランスの吹き抜けも同様だし、三茶ハウスやT-treppeのパッセージも同じことだ。どこも建築面積には入っていないけど中心的空間。

建築に限らず物の存在は周辺の空気を作る。

インテリアの小物ひとつが部屋の空気を変えることもあるし、花があると部屋の雰囲気ががらりと変わる経験は誰にもあるのでないだろうか。建築の存在も同じはずなのだけれど規模が違う、雰囲気を超えて「環境」を作り出してしまう。影響は大きい。

建築は自らを引き立たせるような「周りの空気ごとデザインできる」数少ない分野かもしれない。それを意識するかしないかでは、罪な建物から魅力的な建築まで大きな差が出る。内なる外部空間と町並みに対する外に向いた空間、建築が生み出す外部の空間はさまざまある。

建築の設計とは建築本体にとどまらず、周りの空気もデザインしなければ気持ちの良い建築はできないし、それをできるのが建築設計である。

建築物とは「柱もしくは壁と屋根を有し、土地に定着するもの」その水平投影面積が「建築面積」 (計算方法は細かな規定があり、一言では説明できませんので省いています)


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建築面積に入らないアレイやパティオに人が集い、良きコミュニティがさらに深まる




代表取締役 伊藤 正

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