#03.郊外におけるプロジェクト

郊外の物件に対する強いニーズがあることは承知している。
しかし、郊外の場合どうしてもコーポラティブハウスのメリットが見えてこないのだ。

郊外ともなるとエリアも広範囲となり、人が分散してしまって集まりにくいのも事実だ。戸建て住宅が競合となり、そのニーズはやはり強い。

一方、郊外のマンションの価格相場はかなり低めの設定になっている。デベロッパーも都心部に建設する場合はクオリティを上げるが、郊外だと価格勝負を主体とすることが多い。土地代だけでなく、建設コストも抑えているマンションが多いのだ。

規模を大型化し、緑豊かにゆったりと共用部を確保する計画のコーポラティブハウスではなかなか価格の面では勝負できない。

ゼロワンオフィスだけではないだろうがコーポラティブハウスの場合、建設コストが分譲マンションより高いことが多い。となると、住戸価格のうち土地の比率が下がって、建設コストの比率が高くなると最終的な価格面で割高感が出てしまうのだ。

経済設計を否定するつもりはなく、とても重要なことと考えるが、かといって今ゼロワンオフィスで進めているプロジェクトにおいては至上主義ではない。その地にふさわしい設計やコンセプト、入居者の居住性、性能を優先している。

郊外のプロジェクトであれば、都心部より建物に十分コストをかけられ、緑豊かで魅力的な環境を作り出せるであろうことは十分理解しているので、近いうちに一つ実現してみたいものである。

その際に是非挑戦してみたいのが、室内と屋外の中間領域を持つ住宅である。日本人も欧米人並にアウトドアの過ごし方も上手くなってきているし、専有面積には入らないであろう半屋外のスペースの利用法と、室内とのつながりのある生活の場。

それは広いテラスかもしれないし、専用の中庭かもしれない。アウトドアリビングとして利用するのもひとつの方法だ。それをあえて共同住宅で作る。自分専有の庭の先には共用の庭がある。何か新しい生活スタイルが見つけられそうだ。

共用部は緑いっぱいにしてビオトープもつくり虫達にもたくさん来てもらおう。夏にはセミしぐれ、秋にはこおろぎの音・・・、四季を体で感じる環境。考えるだけでわくわくしてくる。郊外に思いを馳せれば馳せるほど現実とは離れていくようで、結局遠ざかってしまっている。

東京の郊外は郊外ならではの利点を享受できないところが多く、結局、都区部とあまり変わらない環境が大半というのが現実で、都心への回帰現象も理解できてしまう。

単にコストを意識するのではなく、郊外なりの贅沢なものを作ってみたい。そのときは価格的な魅力と言うより、環境をも買うという意識の人たちの集まりになるのであろう。

代表取締役 伊藤 正

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