#06.実現しなかったプロジェクト 実測売買ができない。

ゼロワンオフィスでは土地の契約を済ませた確実なプロジェクトの募集を原則としている。玉川田園調布のプロジェクトTD-eavesも同様に土地の売買契約は済ませた。 手付金として1000万円以上の金額も払い募集に踏み切った。

土地の契約に至るまでにはもちろん相当な労力を必要とし、数多くある情報の中で勝ち抜いてきた、いわば選りすぐりの土地であったわけだ。

具体的には募集前の調査として、 まず設計者が満足できる建築ができるかどうかの検証をする。以前のコラムに書いたとおりだ。

建築的なこととは別に不動産的なことも当然調査する。

最低限土地の権利関係や近隣との関係、その地の歴史などを法務局に行って調べる。周辺の競合や引き合いの度合い、現地周辺を歩き環境的なことも調べる。
音の関係、光の度合い、風の流れ、周辺建物などなど。。。

建築的に不動産的に問題なく魅力的なプロジェクトが見込めてから具体的に不動産業者と契約に向け交渉に入る。大概は値段交渉が主である。

条件面では既存建物があり解体が絡む場合は、土の中に残存物があったり、中途半端な解体は後々問題となるので基本的にこちらで解体をやることにする。それとこれが今回の問題となった、「実測売買」を原則としている。その他土壌汚染になど、ひととおり確認して合意、契約にいたる。

今回も同じプロセス、綿密な下調べを経て契約をしたのだが、実測がどうしてもできなかった。 近隣の一人がどうしても捺印してくれないのだ。

正式な実測には隣地の立会いの元、印鑑証明付きの捺印をもらって境界ポイントを確定していく作業が必要となる。官民境界は役所の立会いが必要となる。実は多くの土地が法務局に登記してある登記上の面積が実測に基づいているわけではない。

私どもは計画実施の際、きちんとしたものを皆様にお渡しするために、実測をしなおして登記上の面積も正式な数字に書き換える「敷地更正」登記をするのを条件としている。(分譲マンションのほとんども同じであろう、違うものもあるらしいが、、、)

将来、境界でもめることがないようにしておくこと。万が一、敷地面積が変わってしまい結果的に違反建築になってしまう危険性を残さないためなどが主な理由である。法的には実測をしなくても、建築はできるし土地も公募売買と言って登記上の面積でも構わないと言えばそれまでで、契約は成立してしまう。

しかし、、、何億もする事業がたった一人の判子をもらえないために中止になるとは考えてもいなかった。実測は土地売買契約の条件に入っているため、責任は売主である地主側にある。捺印をもらう交渉も基本的には売主側が行うことであり、こちらとしては何もできないのである。(状況にもよるが)

聞けば、隣地の人とは特段悪い関係ではなかったとのこと。強い意志で反対しているから押さないということでもないから腑に落ちない。どうも自分がそこの土地を購入したときにはそのような手続きをしていなかったらしいのだ。

で、どうしてそのようなことが必要なのか、ましてや印鑑証明までつけて、、、なんとなく判子をつくのに抵抗がある、不安がある程度らしい。たったそれだけのことと聞いている。判をを押すことに関して法的な強制力はなく、お願いをするしかないとのことなのだ。

結局、契約決済時にまでに判子はもらえず、契約は解除と言うことになってしまった。楽しみにしていた参加予定者の方たちには大変ご迷惑をおかけすることになり申し訳ない気持ちでいっぱいではあるが、中途半端な状態で妥協することなく、毅然とした仕事をしようとしたためとも言える。

その後、いったんは振り出しに戻し、一部の人が参加を辞退するなど混迷が続いていたが、一部分筆をして実測のできるところだけで進める準備も進めていた。しかし契約解除後のオープン情報の土地であったため、無情にも他に実測をしないままでいいという買い手が現れ完全にプロジェクトを断念せざるを得なくなってしまった。無念。

代表取締役 伊藤 正

コーポラティブハウスについてのコラム一覧

コラム一覧へ戻る

メンバー登録はこちらメンバー登録はこちら