#11.clanka クランカ(世田谷区上野毛)

・・・はじめは一家族の住まい探しの為に始まった土地探し、最後は4家族のためのコーポラになった。

befor → after



ゼロワンオフィスは母体が設計事務所ですので、建築設計監理業務を基本的な軸にしております。 しかし、他と違うところは、設計事務所でありながら土地探しもするし、既存物件のリノベーションから土地の有効活用に加え、 コーポラティブハウスの企画コーディネートなど、ニーズと条件によって様々なすまいの形を自由に提案をできるところに大きな特徴があります。

このクランカと言う名のコーポラティブハウスは最初、新しい住まいを求めるにあたり、土地を探しからお願いしたいという、個人の方からの相談から始まりました。土地探しは子供の学校の関係もあって、上野毛周辺エリア限定で始めました。

探していて気がついたのは、大きな宅地は細かく分割されて、とても窮屈な区画割になっていることが多かったり、逆にゆとりのある敷地に出会っても今度は価格的に手が届かないなど、なかなか求めている条件の土地が見つかりませんでした。

結局、ここならばと出会った土地も、面積は広いが接道条件が悪く、周辺相場より坪単価はかなり安いが、総額では予算オーバーの土地でした。通常であれば、検討を中止するような土地に対して考えた解決策は、4家族が暮らすコーポラティブハウスにするというアイデアでした。

幸い、このアイデアに共感する他の3家族がすぐに集まったこともあり、4家族による家づくりは、順調に完成することが出来ました。

住宅街のなかに立つ小さなコーポラは、ひとつの家に住む家族のようなと言う意味合いの造語で『clanka(クランカ:「clann=アイルランド語で家族」+「ka=家」の造語)』という親しみを込めた名前が付けられました。

一度、土地探しをしてみると判るのですが、戸建て向けの土地と事業向けの土地では明らかに坪単価が異なります。事業用の土地の場合は、収益還元計算による土地の利用価値からコストが決まるのに対し、戸建て用地は周辺相場により決められることが多く、収益還元などの計算からすると非常に割高なところが多いのです。

そのような理由から、事業用の広さがある土地でも、業者は土地の一部を道路にして、土地を細分化の上、戸建て用地として売りに出します。売れる土地をわざわざ削り、コストをかけて道路をつくり、更に土地の分筆手続きなどの費用をかけても戸建て用地にした方が、リスクが減り利益が出るとの計算からです。

同じ土地でも戸建て用地で販売をするのであれば、それくらいコストをかけることができる余地がある、逆に言うと、高めのコスト設定になっているということなのです。

初めて土地探しを経験したクライアントも、土地価格の現実を目の当たりにして、途中からは一戸建てにこだわらず、集合住宅の経済性と合理性を積極的に選択しました。結果的にこれは賢い選択であったと思います。

戸建てにこだわって、場所を妥協した上に土地代に大きな予算割かれ、建築は最低限のコストしか掛けらないと言うケースをよく見聞きしますが、毎日過ごすのはそれこそ住まいの中であり、生活の環境は家の建つ場所そのものです。所有価値より利用価値を重んじるといった合理性がより快適で安心な暮らしに繋がるものと思います。


外観


設計上重視したのは、平面的な広がりです。

このエリアで戸建て住宅となると3階建てが多く、ゆったりとした平面を持つことが難しいので、ここは集合住宅にしたメリットを活かすべく、平面の広がりを持たせることと、狭い敷地ながらも敷地の四隅に空地を設けることで、4方囲まれた隣地建物との距離感を取り抜け感を持たせたことです。

開口部の大きさや向き、室内外の吹抜け、インナーバルコニー、ルーフバルコニーなど、内部と外部の関係にバリエーションを持たせることで、光や風、プライバシーを確保する工夫を重ね設計をまとめました。

家を建てるということは、そこの地域社会に仲間入りをするということ。

新参者としての作法として最低限の「身だしなみ」なり「愛嬌」「気配り」と言った配慮も必要です。エントランスは、そんな思いもこめて、狭いながらもシマトネリコのシンボルツリーを植えました。

clanka詳細はこちら

代表取締役 伊藤 正

コーポラティブハウスについてのコラム一覧

コラム一覧へ戻る

メンバー登録はこちらメンバー登録はこちら