家の中に樹木を
プロジェクト参加のきっかけは何ですか?
コーポラティブハウスという名前は聞いたことがあるくらいで、詳しくは知りませんでした。もともと吉祥寺に住んでいて良い街だと思っていたので、吉祥寺で住まいを探していたものの、なかなかピンとくる物件に出会えず、探してはやめてを繰り返して・・・そんな中で見つけたプロジェクトでした。しくみや予算も自分にあっていましたし、最初に敷地を見に行った時も、これはいい場所だとすぐに思いました。
どんな住まいをつくろうと思っていたのですか?
「畑をつくりたい」「外が見えるお風呂がほしい」といったイメージをもっていました。内装の全体の雰囲気は、吉祥寺にある雑貨屋さんの雰囲気が良くて、そのお店のテイストを取り入れています。あと、風がよく通る家にしたいとはずっと思っていました。
地下住戸に対しての印象はどうでしたか?
抵抗はそれほどありませんでした。面白いんじゃないか?という感じでしたし、庭をつくりたかったので、上層階に比べたら現実的だと思いました。
地下のリビングやドライエリアにはハンモックをつけてくつろいでいますが、地下だと外からの視線も気にならず、まるで包まれるようで落ち着きます。また開口部が多いので思った以上に風通しがよいですね。
大胆にダイニングに取り込んだ樹木(フィカス)が特徴的ですね。
はい。ただ、このアイデアは最初からあったわけではありません。「畑をつくりたい」と関連しますが、緑を暮らしに取り込みたいとは思っていて、それで打合せを進めていくなかで設計者から提案してもらったのだと思います。
いまは枝葉の手入れなどを楽しみながら成長を見守っています。また、ドライエリアや1階のテラスでも植栽を育てたり。いろいろとお店を見てまわって「これは素敵だな」と思ったものを買って育てています。やはり緑を身近に感じられるというのは良いですね。
フルオーダーのキッチンで過ごす
内装の設計に関してはどうでしたか?
内装材をひとつひとつ選んでいけたのが良かったと思います。選択肢がたくさんあったので、確かに迷いはしましたけれど。設計打合せの最中、家族と設計者とみんなして「うーん」って悩んだこともありましたね。
キッチンはフルオーダーでつくられましたね。
すごく気に入っています。遠いところまで打ち合わせに行ったのを覚えていますね。
キッチンに立って料理をしながらドライエリアが見えたり、樹が見えたり。配置のことまで含めて、設計者がキッチン業者さんと何度も打合せをしてくれたんだと思います。結果、私はここで過ごすことが一番多いですね。リビングよりも。なんでもここで済ませるといった感じです。
天板だけでなくシンクも白ですので、最初はシミなどの心配がありましたが、問題はありませんでした。最初を知っている分、だんだん汚れてきたかなぁと思うことはありますが、掃除もしやいですし、傷も付きにくい。安心して使っています。
使い勝手はいかがですか?
食材を置いたりするスペースが多いので、料理がストレスなくできます。できたものをすぐ横に置いてお弁当箱に詰めて、同時に朝ごはんをつくったり。さらにいま、子供と一緒にクッキーをつくったりして楽しんでいます。
吉祥寺という街、そしてtradicaへの愛
入居後の皆さんとのコミュニティはいかがですか?
最初から顔見知りの関係なので、入居後も安心して過ごせています。細かい話をすれば、留守中に猫の面倒を見てもらったり、おすそわけをしあったり、子育て情報を教えてもらったり。助けあっていけるので、安心につながっていると思います。
コーポラティブハウスを検討されている方に、オススメをお聞かせください。
自由設計で住まいをつくりたい方にはおすすめします。漠然とした希望であっても、それを伝えると次の打合せの時には形になっているので、毎回それを楽しみにしながら打合せに通っていました。一連のプロセスを楽しめますし、入居者同士顔見知りという安心感があります。
私はtradicaのプロジェクトを通して、吉祥寺という街に対しても、家に対しても、いままで片思いだったのが両思いになったような気がしているんです。好きな街に好きな家を建てることができるのは嬉しいことだな、と思いました。
T邸は、地下1階のダイニングに大きな樹木とハンモックがあり、緑に寄り添いながらゆっくりとくつろげる住まいになっています。かねてから地下住戸にお邪魔する度に、地面に包まれているような、とても安心感のある居心地の良さを感じていましたが、その居心地の良さを味わえる住まいづくりの好例ではないでしょうか。思い入れのあるフルオーダーキッチンは、Tさんにとって一日のうちの大半を過ごすお気に入りの場所。緑が見えたり、風が通り抜けたりするキッチンでの時間は、きっと特別だろうと思います。またリビングとダイニングの壁面棚にはたくさんの写真や雑貨が並び、毎日の暮らしに彩りを添えているように思います。入居者同士のコミュニケーションも活発なよう。ずっと好きだったという吉祥寺で、コーポラティブハウスならではの暮らしを実現されているのを見て、嬉しくなりました。