#03.地鎮祭


地鎮祭とは本来活きている土地を鎮めること。
 
例えば畑、山林、雑種地などで人が日常の営みを はじめる前に土地の神々に祈りを捧げ、土地を使う許しを願うことであるということから、基本的には過去に家があった敷地や建て直しの場合には必要ないとの声もあるが、現在の地鎮祭は宗教的意義というよりは、施主、設計者、施工者が一同に会し工事着工を祝い、工事の安全を祈願して、これから着工する建物に対する関係者の気持ちをひとつにするけじめのセレモニーとも言えるだろう。
 
地鎮祭はときには仏教式、キリスト教式などもあるが神道式が一般的である。 式全体の計画を立案し設営・運営・手配や式進行など全般的に施工業者により行われるが、出席者側としても式場の配置や作法程度は知っておいても損はないだろう。地鎮祭を控えている方は、下の図及び表を参考にして当日に備えてみては?
  

 
式次第 儀式内容 準備するもの 参列者の作法等
手水(ちょうず、てみず)
【開会式】
式場に入る前に水で手を清める儀。水を注ぐ人は、3回に分けて注ぐのが作法 - 手を清める
修祓(しゅばつ)の儀

補佐役の神官が、神官や参列者、玉串などを祓い清める。心身ともに祓い清め、神に近付く

手水桶、柄杓、手拭き用の紙、捨て桶。 起立して、頭を下げる
降神(こうしん)の儀 神官がことばを述べ、祓い清められた式場に神を迎える - 起立して、頭を下げる
献餞(けんせん)の儀 神々の召し上がる食物などを供える 神酒、米、海草、川魚、塩など (着席のまま)
祝詞(のりと)の儀 神官が神に祝詞を申し述べる 施主、工事名称、設計事務所名、施工者名を神主に正確に伝える 起立して、頭を下げる
四方祓い(しほうはらい)
の儀
供えものを、敷地の中央および四方に撒いてお祓いする - (着席のまま)
苅初(かりぞめ)の儀 鎌をもち、神前に1杯の後、盛砂の前に進み、3回草を苅る所作をする 齋鎌(いみがま) 苅初の儀は設計者が行う
鍬入れ(くわいれ)の儀 鍬をもち、神前に1杯の後、盛砂の前に進み、3回土を掘る所作をする 齋鍬(いみぐわ)また齋鋤(いみすき) 鍬入れの儀は施主と施工者が行う
鎮物(しずめもの)の儀 盛砂の脇に穴を掘っておき、神官が神礼、通貨、鏡などの鎮物を埋める 鎮物 施主は、神官から齋鍬を受取り、神前に1拝の後、穴を埋める所作をする
玉串奉奠(たまぐし
ほうてん)の儀
施主、設計監理者、施工者、来賓などが玉串を神前に捧げて拝礼する 玉串 神官から玉串を受取り、捧げたのち、2拝2拍手1拝し、3歩下がってから自席に戻る
撤餞(てっせん)の儀 供え物をさげる - (着席のまま)
昇神(しょうしん)の儀
【閉会式】
神官がことばを述べ、迎えていた神を元の御座に帰す - 起立して、頭を下げる
 
 

◆ 式の配置図
注連縄(しめなわ):聖域を示すもので、右上隅の齋竹から右回りに張り、四手をさげる
齋竹(いみだけ):若竹ともいい、神座の四隅に立てる青竹をいう
鯨幕(くじらまく):神座の周囲を張りめぐらせる幕で、青白の幕を用いる
玉串仮案(たまぐしかりあん):玉串奉奠の前に、玉串を載せておく台
正中(せいちゅう):神座の真正面に通す部分(通路)で、神座に向かって右を上座とする
手水桶(ちょうずおけ、てみずおけ):参列者と神官が式場に入る前に手などを清める水を用意した桶

【参考文献】「建築知識」
 
代表取締役 伊藤 正